岡田強化本部長(当時部長)のインタビューを読み直す

大幅にメンバー構成が変わった今シーズン、改めて2018年に掲載された岡田本部長の記事を読み直してみた。
選手を「売る」ことは悪ではない。Jリーグ徳島・岡田強化部長の挑戦

3月以降に出てくる決算書をみてみないといけないが、多くの選手が他のチームに移籍したことによって移籍料は獲得することができたかもしれない。また、藤田ジョエル選手など今後海外にいく可能性のある選手もいるので、将来的にトレーニング・コンペンセーションや連帯貢献金を獲得できる可能性もあったので、選手を「売る」ことには成功したかもしれない(いろいろ裏の事情があるので、数字を見るまでなんとも言えないが)。

この記事を読んだときは、「売る」という言葉ばかりに目がいってしまっており、徳島の地域特性や当時のJリーグで立ち位置を考えると方向性としてはあっていると思っていたが、読み直すと次のところにもなるほどと思った。

「見方とやり方だと思います。ただ、誤解のないように補足しておきたいのですが、若手ばかりでいいとは思っていないですよ。例えば、冨田大介選手はもう40歳になりますけれど、本当に普段から素晴らしい立ち居振る舞いをしてくれて、出てくれた時にはしっかり働いてくれる。若手のお手本なんです。そういう見本になれるベテラン選手は、若手を育てるという意味でも不可欠だと思っています。僕らが言ってもなかなか響かないことでも、彼のようなベテランが実践してくれていると、若手も自然と真似するようになりますから。若いだけの編成にしてはダメだとも考えています」

石井選手、藤田征也選手、長谷川選手、田向選手、佐藤選手などJ1シーズンで出場した選手以外にも、出場機会はなかったとはいえ選手会長をつとめてくれた松澤選手など経験のある選手を残したことは若手や移籍した選手への影響を考えてのことだと思う。なにより岩尾選手が移籍したとは言え、完全移籍ではなく期限付き移籍で出したことも将来的にはということを見据えての人財戦術なんだろう。

次に気になったのはロドリゲス監督を招集したときの話。

「いろいろな人との繋がりと、普段から張っているアンテナです。最初からロドリゲス監督一本に絞っていたわけではなくて、実際にレポートを出してもらって、ゲームも見て、そしてもちろん話してみてからです。バンコク・グラスの試合も実際に見ましたけれど、やっぱりそれだけだとわからないですよ。ただ、選手のレポートを出してもらった時の選手に対する見方、ウチの後半戦は良かったんだけれど、逆に課題と感じている部分というところがまず一致していたんですね。生で徳島の試合も見てもらったんですが、その後に話した時も、自分とイメージが合いました。選手をどう良くしていくかという部分でも似た発想を持っているなと思えたんですね。どのシステムで戦うとかそういう話ではなくて、フリースペースはどこなのかとか、相手のオーガナイズがこうだから、フリーマンが誰になるのか、それを選手がどう判断しているのかとか、あるいはそれらをどう全体で共有してコレクティブに戦っていくのかを考えてくれる監督だとわかりました。あとはもっと単純な部分でも共感できました。それこそ『どのチームのサッカーが好き?』とかね(笑)。リバプールのこういうのが面白いとか、ナポリいいよねとかね。最後はフィーリングでしたよ。同年代なので、見てきたサッカーも同じなので、そういう意味でも話は合いました」

おそらくポヤトス監督を招集したときも同じようなプロセスを踏んでいると推測できるし、シーズン終了後にも改善点や選手編成などを話た上での今回の続投だったはず。

それ以上に気になったのが赤字のところ「生で徳島の試合も見てもらったんですが、その後に話した時も、自分とイメージが合いました。」

サッカーは自由度の高いスポーツである。岡田本部長もいづれクラブでの立場が変わったり、離れるときは訪れる。「自分と」というのは属人的な判断であり、クラブが同じようなアイデンティティを継続できるかが今後問われてくる時期はいづれくる。昨年度はJ1に昇格する、監督が代わるという2つの変革が同時に来た。2022年クラブ新体制では、クラブコンセプトや選手モデルを示されていたが、抽象的なものであるので監督や選手を選択する場合に具体的な指標があるかが気になるところである。本部長という立場になったので、ある程度現場に任せているところはあるが、非常に気になるところ。

レオザフットボールさんがリヴァプールの新戦力が新戦力にはずれがない理由をYoutubeで語っていたが(切り抜きの方でごめん)、監督が求めるものが明確でという話をしていており、その通りだと思う。ただし、クラブは監督に合わせて選手を総とっかえするわけにはいかないのでクラブのコンセプトに合った監督を継続的にお願いしいないと費用がかかってしょうがないので、やはりクラブの方針というのは固める必要がある。

いったんJ1に昇格・最終節まで残留争いができたということでこの方針に間違いはない。クラブの方針を固めて、下部組織にも同じような方針で選手を育ててほしい。下部組織の作り方もレアル方式がいいのか、バルセロナ方式がいいのかいろいろ意見はありそうだけど。

野球の世界では過去にマネーボールが流行ったけど、そのノウハウが知られてしまうと結局は資金力の問題になるしなぁ。

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